ライセンスビジネスの基礎と歴史的背景

ライセンシングという言葉を聞くと、スポーツやエンターテイメント・ライセンシングという言葉が思い浮べられることでしょう。しかし、実際のライセンシング・ビジネスは、その他、実に多岐に渡っています。数人の専門家たちに独占されていたライセンシングの時代は終わりました。いまや、大手企業、マスメディア各社が、ライセンシングを重要なマーケティング手段と考えているのです。ライセンシングは、マーケティングとブランド拡張を実現する最新で最も効果的な手段であり、より複雑な方法で使われているとさえ言われます。(Revoyr,1995,p.1)
ライセンシング・ビジネスの詳しい説明をするには、基本的な情報が必要になります。ここでは、ライセンシング・ビジネスで使われる定義や基礎用語を紹介します。

用語と定義

 ライセンシングとは、製品や製品ラインに関して、法的に保護されているプロパティをリースするプロセスのことです。法的に保護されているとは、いわば商品登録されていたり、版権が保護されていることです。名前、肖像、ロゴ、グラフィック、言い習わし、署名、キャラクター、もしくはそれらが組み合わされているものがその対象となります。(White,1990,p.5)
もちろん、宣伝やサービスのように、製品以外の目的でプロパティがライセンス化されることもあります。しかしここでは、そのようなライセンシングは除き、商品ライセンシングのみ取り上げることにします。

 ライセンシングは通常、2つのビジネス体の間の契約上の合意に基づいています。2つのビジネス体とは、プロパティのオーナーやエージェント、つまり権利の賃借側となるライセンサーと、将来的なライセンシー(メーカーの場合が多い)の2つです。オーナーのプロパティを使用するための公式な認可は、特定の目的、明確な地理的エリア、限定された時間といった一定の期間や条件を必要とします。(Raugust,1995,p.116)
ライセンサーは、ライセンシーにプロパティを使用する許可を与える代わりに、経済的報酬を得ます。そのベースとなるのは、ロイヤルティです。ロイヤルティはライセンシーの商品販売の利益分として、プロパティに含まれているものです。さらに、最低額のロイヤルティの保証と、保証金が必要になります。(Raugust,1995,p.3)
ライセンシーはたとえそのプロパティを使用しての事業展開に失敗しても、この保証金は支払わなくてはなりません。通常、保証金は事前に支払われます。

特徴

 ライセンシングの機会はいまや、10数年前とは比べものにならないほど台頭してきています。過去10年間で、ライセンス化された商品の数は急増しました。その10年の間に浸透してきたブランド名の価値が、アメリカ国内においてもようやく認識されるようになりました。今日では、効率的なブランド拡張と、第一線のブランドに対する消費者意識を高める手段として、希少価値があり、識別されやすい商標はライセンス化されています。並み居る商品の中で頭角を現すために、そのような商標の受けのよさと親しみやすさが一役かっているのです。

 先ほど触れたとおり、ライセンシングは1つのマーケティング手段です。ライセンシングによって、認識が生まれ、ブランド意識を保ち、ブランドのイメージを強化することもできます。「伝統にとらわれない宣伝の場」としての小売り市場にブランドとそのメッセージを取り入れ、その他あらゆるプロモーション、宣伝方法を駆使することで、商品のライセンシングは主に見る人の印象度を増し、まとまった消費を拡大させる手段となりうるのです。(Revoyr,1995,p.5)

 例えば、力のあるブランドにはたくさんの消費者がつくことが多いですが、それは他の商品分野でも当てはまる場合があります。その価値を利用するために、他社が製品や商品を使用できるよう企業は、名称やロゴ、その他ブランドに関するものをライセンス化することがあります。このような方法での商品ライセンシングは、所有物の持ち主と、ライセンス品メーカーの双方に絶好の機会と利益をもたらします。長年支持されてきた既存のブランド名やキャラクターイメージを使用することで、ライセンシングはライセンス品メーカーが素早い消費者意識とブランド認識の強化を実現する手助けとなるのです。(Keller,1998,p.53)
それは、通常必要となる投資をせずとも、独自ブランドの立ち上げを果たすことができます。ライセンシーの商品は瞬時に商標や著作権を貸りることで得るブランドの認識とイメージの利益を獲得し、消費者はライセンシー商品に費やす金額を進んで増やすようになります。さらに、新しいブランドが既存のブランドのようにまとまった消費者を確保するためには長い年月を要するのに対して、ブランドの利益は即座に認められます。(Raugust,1995,p.11)

ライセンサーが商品をライセンス化する根本的理由は、ブランドの拡張と、新商品を開発、製造、売買せずにブランドのイメージと消費者の信用を高めることに関係しています。その上、特定の製品分野において使用するブランドをライセンシングすることは、合法的にブランド名を利用してその分野に参入しようとする競争相手を阻止できる意味でも、ライセンサーは法的保護を受けていることになります。(Raugust,1995,pp6-10)

 ライセンサーの経済面での利点は、ロイヤルティの収益にあります。金銭的なことを言えば、ライセンシーが企業に支払うロイヤルティの平均は、売上のあった各商品の卸価格のおよそ5%となります。実際、企業には製造やマーケティング経費がかからないので、ロイヤルティの総収益はそのまま企業の利益となるのです。

The following is an abstract of a Diploma Thesis written by Sabina Gockel at Johannes Gutenberg-Universitaet Mainz at the Department of Applied Linguistics and Cultural Sciences in Germersheim in the year of 1999/2000, supervised by Prof. Dr. Karl-Heinz Stoll and Dr. Donald Kiraly and appears here by express permission of the author. As such it falls under our copyright and may not be copied, reprinted or sold in any fashion without the permission of LIMA.

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